フォンタン術後のチアノーゼ
先天性心臓病と診断され、生後1ヶ月で動脈管に代わる人工血管をたてました(B-Tシャント)。1歳で両側両方向性グレン手術、3歳でフォンタン術。このとき癒着がひどかったため剥離時に横隔膜神経をさわり、左側のみ麻痺が残りました。
フォンタン1年半後のカテで人工血管を閉じても血圧がかわらないので、閉じたほうがサチュレーションをあげることができると診断。先日、カテにてコイルで人工血管を閉じようとしたが、無理な状態だったのでできませんでした。
担当医のお話では、「将来のことを考え、少しでもチアノーゼをとってあげることが望ましい。コイルが入れなかったので、次なる手段は手術しかない。自然に人工血管が閉じることはないとはいえないが、術後1年以上たって閉じていないからまず考えにくい」とのことです。
フォンタン術後サチュレーション85の状態が続いていました。1年半たって、最近は90近くになっています。数字が上がった原因は人工血管が自然に閉じつつある、もしくは麻痺していた横隔膜が改善しつつあるかのどちらかでしょうか。前回のフォンタン時に剥離が非常に難しかったことが大変気にかかり、次の手術に踏み切れません。人工血管が自然に閉じるのを待ちたいのが親の希望ですが、主治医の先生の言われるように、いつ閉じるかわかりませんし、閉じるかどうかもわからないので、少しでもチアノーゼを取ってあげるためには、やはり手術しかないのでしょうか。息子はとても元気で、今までに緊急手術をしたのは、生後のみです。
回答
両方向性グレン手術、フォンタン(開窓)術後にチアノーゼが残る場合、最も多い原因は、開窓術のため、心房中隔欠損が閉じない場合、さらに、肺動静脈側副血行路の発達です。B-Tシャントが閉鎖されていないで、チアノーゼの原因となるということはB-Tシャントが開いていて肺血管抵抗が上昇し、肺に血液が流れにくくなり、開窓術経由のシャントがあるためと推測されます。酸素飽和度が90%であるならば、チアノーゼの全身に与える影響は今のところ少ないと推測されますが、長期的な悪影響、開窓術経由の血栓塞栓などが心配になります。このため、閉鎖するほうが良いと思います。
再手術では、程度の差はありますが、癒着が強くなります。カテーテル閉鎖が難しい状況であるならば、いつかは、手術的な修復が必要です。再手術は、癒着のために時間がかかりますが、再手術になれている医師であれば、大きな心配はいらないと思います。手術のメリット、危険性などについて、主治医と十分に話してください。