グレン・フォンタン術かパッチ術か
昨年生まれた子どもの先天性心疾患の手術法について、お伺いします。両大血管右室起始症、心室中隔欠損、肺動脈閉鎖症と診断され、肺動脈にはほとんど血流はなく、心室中隔欠損は大きい、大動脈は右心室側にあるとのこと。生後2日にBTシャント術、3週間後にシャントが小さいことが判明し、大きいサイズに再手術しています。
根治手術について3点質問があります。
1)根治手術でパッチ術が実施できる条件は何でしょうか。特に、大動脈を左心室につなぎかえることが可能な条件は何でしょうか。根治手術はパッチ手術もしくはグレン・フォンタン術のどちらかになるそうですが、現在までのエコー診察では、根治手術はグレン・フォンタン術の可能性が高いと言われています。理由は、パッチ術の場合に大動脈を左心室につなぎかえるための人工血管がS字状に曲がり、大動脈と人工血管のつなぎ目から血液が漏れてしまう可能性が高いためです。
根治術としては、心内手術のパッチ術を希望しているのですが、不可能でしょうか。
2)根治手術を受ける最適な時期というものありますか。時期を待つことによりパッチ術が受けられる可能性がありますか。4月末にカテーテル検査で手術方法を決定する予定ですが、現状ではグレン術の場合、6月頃に実施と言われています。
3)パッチ術とグレン・フォンタン術のそれぞれの予後について教えてください。
回答
1)2)ですが、どちらの手術法が適当かは、心室中隔欠損と大動脈弁の位置関係によります。右室側からみて心室中隔欠損と大動脈弁が近い場合は右室内に舟型のパッチをつけて左室から大動脈へ通路を作ります。手術年齢は外科医の経験によりますが、1?2歳、あるいは4?5歳でしょう。
逆に心室中隔欠損から大動脈弁まで遠い場合にはこの手術はできません。お子様の場合はどうも心室中隔欠損から大動脈弁まで遠いようです。時期を待てばパッチ手術を受けられることはありません。
3)パッチ術が順調に出来た場合(左室?大動脈間に狭窄なしの場合)は予後良好です。ファロー四徴症のラステリ手術後と同じ程度の予後でしょう。10?20年で導管交換の手術が必要です。細菌性心内膜炎の危険は高いです。半数以上は30歳以上まで健在でしょう。
グレン・フォンタン手術の予後は、半数以上は20歳以上まで健在でしょう。ただし手術後10?20年で半数の人が不整脈と心不全を起こします。どちらの手術の場合でも、平均生存年数までは不明です。
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