両大血管右室起始症
息子の病気についてご相談します。
生後1ヶ月で、右室流出路拡大術。3歳1ヶ月で根治手術。
術後の所見は、経過・術後心拡大は持続し、多呼吸や浮腫もあり。
利尿剤投与などの内科治療を継続中。心電図所見・なし。胸部X線所見・心胸郭比71%。肺静脈うっ血・有。心エコー検査・左室拡張期径32.6mm。左室収縮期径24.7mm。EF56%。PS・40mmHg。所見・肺動脈狭窄と閉鎖不全あり。
現在使用の薬はラシックス、アルダクトンA、レニベース、インクレミンシロップ(無輸血手術だったため)
ゆっくりではあるが、心拡大は改善されると思われる。しかし現在、術前と同量の投薬が必要で、継続的医療と経過観察が必要。
予後についてと、根治で入れられた肺動脈弁について知りたいです。
肺動脈弁は、医師の手製のものです。ゴアテックス製の1弁になります。弁というより、逆流止めという言い方のほうが正しいかもしれません。形状は、カンガルーのお腹の袋みたいなものだと聞きました。これは、途中で機能しなくなる可能性が高いと言われ、固まり方によっては再手術も考えられるとのことです。よく、弁置換と聞くと人工弁の話を聞きますが、我が子にも必要になることはあるのでしょうか?
回答
まず両大血管右室起始症は肺動脈狭窄の有無、心室中隔欠損と大動脈弁の距離(位置関係)により手術法が異なります。この方の場合、一応肺動脈狭窄あり、心室中隔欠損が大動脈弁下にあり、右室内のトンネルで左室ー大動脈弁の通路が出来た手術後と推定してお返事します。
まず予後について:確実な予想は出来ません。多分心不全が長く続くでしょう。肺動脈弁部に入れた手作りの弁は手術後半年でかなりの逆流を生じます。この問題はファロー四徴症の根治修復手術後にしばしば生じます。この種の肺動脈弁閉鎖不全は右室の拡張を生じますし、左室機能にも良くないのですが、人工弁を入れる手術は手術後に抗凝固療法が必要ですし、実際には殆どしていません。外国では他人の肺動脈弁(ホモグラフト)を使いますが、日本では手に入りません。