動脈管開存症の治療選択
動脈管開存症の0歳の息子について相談します。軽度の左室・左房の拡大と軽度の僧帽弁閉鎖不全もあります。
乳の飲みはやや疲れやすい面はあるものの、生後4ヶ月で8kg程度と生育上はまったく問題はみられず元気も良いと思います。
3ヶ月で卵円孔開存5mmは閉鎖。開存した動脈管も5mm程度から3mm程度に減少しました。
病院Aの先生は、1年程度経過観察し、カテーテルによるコイル閉鎖を考えてはどうかという意見です。もしその時、広ければ開胸による閉鎖術を行うとのこと。
病院Bの先生は、胸腔鏡下手術によるクリッピング閉鎖術を考えてはどうかとのことでした。
親としては
1)低侵襲で子のQOLの向上を第一優先とすること
2)次に根治に近い手法であること(将来の心内膜炎の不安も取り除きたい)
という方針です。
現状では、病院Bの胸腔鏡下手術を考えています。動脈管開存では有名な内視鏡手術技術をもっている先生なのですが、内視鏡が重要な血管を傷つけるリスクがあるという数人の他の専門医の意見が気にかかっています。
そこで
胸腔鏡下手術における血管損傷事例の頻度(確率)とその場合の重篤度(死亡率)など、参考指標となるものをご教示ください。
また、カテーテルを選択した場合、1年間放置することで僧帽弁閉鎖不全の治りやすさに悪影響はないのか、
さらに、コイルが脱落した場合、重要な血管梗塞につながらないのか、なども併せてご教示いただけますと幸いです。
回答
胸腔鏡下手術はまだ経験が少なく、確率を云々するほどの数はないでしょう。
動脈管は大動脈と肺動脈の間にありますから、大動脈を傷つけると一瞬で大出血を生じ、ショック、心停止を生じるでしょう。
1年経過をみて、危険はないでしょう。
コイルが脱落したら梗塞にならぬよう、カテーテルで回収します。回収できない合は手術で回収します。
3ミリの動脈管はコイルで塞ぐのが困難なことがあります。その場合にアンプラッツアーがうまく閉じるでしょう。アンプラッツアーは心房中隔欠損症用に今年から使えるようになりましたから、数年先には動脈管用にも使えるようになる見込みです。その点からは、数年待機の方針もよい選択肢でしょう。