ICD装着のメリット、デメリット
20年ほど前より不整脈源性右室異形成(ARVD)と心室頻拍があります。アブレーション治療も試みましたが、うまく遮断できず、現在薬物治療をしています。また、15年前よりペースメーカ植え込みをしています。主治医より、ペースメーカの交換時期でもあり、除細動器の埋め込みをすすめられました。
ここ数年は頻拍発作も出ずに安定した状態であり、できればこのまま様子を見たいのですが、埋め込みのメリットとデメリットを教えていただきたくお願いします。また、現在自営業をしているので入院休業となると収入や生活の不安もあり、判断に迷うところです。
回答
ARVDで心室頻拍があり、現在は薬物で良好にコントロールされているとのことですが、ペースメーカ交換を機にICDにグレードアップしようという考えは、医学的にも臨床的にも妥当な判断であると思います。
以下にICD装着のメリット、デメリットを記載します。
<メリット>
1)ARVDは進行性の病態であるので、薬物治療のみで心室頻拍発作を完全に予防することは困難です。
心室頻拍が再発した際にICDが装着されていれば、直ぐ自動的に治療することができます。
2)最近のICDには抗頻拍ペーシング機能があるので、これを設定しておけば強いショックではなくペーシングで止めることができます。
3)万一、心室頻拍から心室細動に移行した場合にも、自動的に除細動機能が働き、救命することができます。
4)現在は出現していないようですが、薬物の副作用(特にアンカロン)も心配で、ICD装着によって減量、中止が可能になることも考えられます。
<デメリット>
1)ICD装着のために入院治療が必要で、治療費と休業が経済的に負担になります。
2)ペースメーカと同様、MRIなど強い磁場を避けなければなりません。
3)携帯電話や盗難防止ゲートなど電磁波の影響にも注意が必要で、日常生活が多少窮屈になります。
4)自動車の運転に関しても、診断書の提出など法律上の規制があり、注意が必要です。