中学生の上室頻拍にタンボコールは適切か
中学1年の男児ですが、3年前より発作性の頻脈がありました。
なんどか循環器科に相談しましたが、通常の心電図に異常はなく発作の時間も短いので様子をみるということでした。
しかし、先日30分間発作が続いたとのことで、小児専門病院を紹介され、そこでホルター心電図検査を受けたところ、発作性上室性頻拍、潜在性WPWの可能性もあるといわれました。
1ヶ月に3回と、頻繁に発作があることから、タンボコール50mgが処方されましたが、この薬を調べたところどの薬も効かなかったときに飲む薬でとても強いとのこと。そんな薬を第一選択薬に飲んでもいいのかどうかとても心配です。
また、アブレーションの時期も家族で相談してくださいといわれましたが、小児のアブレーションが大人と比べてどの程度危険度が高いものなのでしょう。また、何歳くらいになれば大人と同程度の危険度でアブレーションが受けられるのでしょうか。
回答
発作性上室頻拍(PSVT)と診断されている児童の治療に関するご質問です。
発作性上室頻拍(PSVT)の機序は臨床心臓電気生理検査(EPS)をまだ受けていないので、正確にはわかりませんが、潜在性WPWの可能性があるようです。
まず、薬物治療としてタンボコールが処方されたとのことですが、発作頻度は減少したのでしょうか?もしそうであるのなら、その選択でよいと私は考えます。タンボコールは強すぎるのでは、との疑問をお持ちのようですが、それは心筋梗塞や心筋症などの重症器質性心疾患が基礎にあって心機能が低下している場合の話であって、発作性上室頻拍(PSVT)以外には心臓に異常がないという場合は、タンボコールは他剤よりむしろ副作用は少ないと考えられます。(ただし用量には要注意)
また、発作性上室頻拍(PSVT)患者を対象として、タンボコール系薬剤とワソラン系薬剤の効果を比較した臨床試験で前者のほうが優れていたとする報告もあります。
薬剤の効き目が不十分という場合は、カテーテルアブレーションがやはり次の選択でしょう。小児に対するアブレーションは確かに成人の場合よりリスクが大きいとされていますが、それは乳幼児の心臓の発育が未発達で心容積が非常に小さい場合であって、13歳以降の児童であれば、アブレーションの適応は成人とほとんど変わらないことが、循環器学会のガイドラインにも示されております。したがって、もし体格が成人並みであるのなら現時点でもよいと私は判断します。