発作性上室頻拍
10年前の投薬治療中に、失神発作を起こし、カテーテル検査を受け発作性上室頻拍症と診断されました。その後も引き続き投薬で治療を続け、15年前に長い頻脈発作が起きたので、再度カテーテル検査を行いました。
検査の結果、洞結節の他に心室内に別の伝導体があるとのことで、カテーテルアブレーションを勧められましたが、手術ではなく投薬での治療を選びました。
それから、何とか投薬で落ち着いておりましたが、半年ほど前、久しぶりに長い頻脈発作があり、24時間ホルター心電図検査で一日の中でほとんど不整脈が起こっていることがわかり、主治医から、またカテーテルアブレーションを勧められました。
1)心室の中に、洞結節とは別の伝導体があるらしいのですが、それはいわゆるWPW症候群(房室結節以外にケント束というものが先天的に存在する)とは違いますか?
2)15年前に行ったカテーテルで、カテーテルの管が本来は壁になっている場所に入っていってしまったらしく、心臓に穴が開いているようなことをおっしゃっていました。先天的に穴が開いているということでしょうか。それとも1回目のカテーテル検査時に誤って穴が開いてしまったのでしょうか。
3)私の場合、24時間ホルター心電図で不整脈のパターンが何種類か出ているようですが、それは電気を発する場所が複数存在するということなのでしょうか。電気信号がでている箇所が複数ある場合に、焼灼漏れの可能性はありますか?また、焼却できれば病気は完治しますか?
4)術後に再発するケースもあるようですが、その可能性はどれくらいありますか。
5)カテーテルアブレーションを受ける場合、比較的症状が落ち着いている時期に受けた方がよいのでしょうか。
回答
1)普通の心臓では、興奮伝導は洞結節に始まり、房室結節を経て、心室に広がります。しかし、ケント束といわれる副伝導路があったり、洞結節の中や房室結節の中に異常興奮の伝導路があったり、さらには心房内に特殊な伝導回路ができていたりすると、これらの中を興奮が旋回して、頻拍発作になります。ケント束がある場合をWPW症候群というのですが、ケント束によらない頻拍も数多くあるわけです。
2)健康な人でも、心房の隔壁には孔が残っている場合がしばしばみられます。
卵円孔開存といいます。珍しいものではありません。
3)異常伝導路が複数あるときには焼灼もれが残ることはよくあります。もちろん、すべて焼灼できれば、発作は完治します。
4)術後に再発するのは、焼灼が完全ではなかったか、焼灼もれとなった部分があったか、という場合であり、これには部位的に焼灼が困難だった場合も含まれます。この頻度は10ない20%程度にあります。
5)アブレーション治療は発作が多いときでも、少ないときでも可能です。