発作性上室性頻拍の治療
52歳の母についてご相談します。
今の薬(メインテート5mg1錠、朝のみ)を飲んでから調子が悪くなったような気がするそうです。
脈拍は普段50拍/分で夜になると70拍/分くらいにあがり最近1?2カ月は血圧も180位まであがることもあるそうです。
カテーテル治療での手術を奨められたが不安があるようで、できれば薬による治療で治したいそうです。
今使っている薬の副作用及び他の薬だとどのようなものがあるのかと、もし手術が失敗した場合どの様なケースが考えられるのか教えて下さい。
回答
発作性上室性頻拍の治療に関するご質問としてお答えしいたします。
まず、奨められたカテーテル治療の手術というのは、発作性上室性頻拍の起こる電気的な回路の一部を高周波を用いて焼灼する、カテーテル焼灼術(アブレーション)といわれるものです。10数年前に始まって急速に発展してきたもので、現在では安全性も治療の確実性も極めて高いものになっています。回路を直接焼いてしまうわけですからそれによって頻拍発作が完全になくなります。ただ、この治療法に対する不安がおありのようですが、それによるリスクとか術後の再発といった問題はそれぞれの病院により、またそれに関わる医師の経験によって多少の差がありますので、受診される先生に直接お聞きください。
カテーテル焼灼術が根治的な治療であるに対して、薬による治療はあくまで対症療法でしかありません。つまり薬を使うことによって発作そのものは止めることは出来ますが、発作の原因となっている回路をなくすわけではありませんので、回路がある以上将来またいつか発作が起こるかも知れないという問題を抱えることになります。
カテーテル焼灼術は現在では発作性上室性頻拍に対する第一選択といえるほどの治療法にまで普及していますが、それでもお母様のように不安だからできれば薬で治したいという人もまだたくさんいます。
発作性上室頻拍は人によってその起こり方が千差万別で、例えば起こってもすぐに自然に止まる人もあり、またいったん起こるとなかなか止まらずその都度病院に駆け込んで注射で止めてもらう人もあります。また1、2週に1回は必ず、しかもいつ何時起こるか知れないので社会生活も果たせないという人や、2、3年に1回起こるだけなので、その都度頓服薬を飲めば治りますという人もあります。そんなわけでどんな薬があるかと聞かれてもここでは答えようがありません。要は循環器の専門の医師の指導によって治療方針を決めてもらう他ありません。
メインテートを飲んでから調子が悪くなったということでしたら、いったん中止して受診されている先生に率直に相談されるのがよく、手術に不安があり、できれば薬で治したいというご意向もその際お話になればよいと思います。