疾患別解説

疾患別の解説と過去の相談事例がご覧いただけます。

脈拍数が110?160/分

32歳 女性
2003年11月15日

小学生の頃より頻脈の指摘あったが、緊張しているなどの理由をつけ放置。
就職して、安静時の脈拍数160以上(日内変動あり40台まで低下することもあった)が1ヶ月以上続き、日常生活が困難になったため仕方なく受診。
ホルター心電図の結果、脈拍平均110回/分・洞機能は正常で脈拍数コントロールのためベータブロッカー内服開始。テノーミン内服で脈拍数コントロール良好。職場主治医より落ち着いているのなら内服はしない方が良いのでは?と言われ内服中止1ヶ月ほど後、夜間より130?160台の頻拍あり。
4年前のホルター心電図結果は、頻拍+心室性期外収縮5連発あり、テノーミン内服再開、現在も内服中。今再び脈拍数落ち着いているため、主治医より内服中止を勧められている。
また、これだけはっきりした結果があれば、診断の為の電気学的生理テストの必要はないし、カテーテル・アブレーションの成功率は4割以下。
洞結節付近のアブレーションは最近行われるようになったばかりで、成功しても洞結節を傷つける。歳をとって心臓の機能が落ちたときの結果がまだ出ていないので、よっぽどの理由がない限り先送りにした方がよい。

・頻拍・short runを起こす可能性があってもベータブロッカーの内服はやめた方が良いのか?
・inappropriate sinus tachycardiaの治療法はベータブロッカー内服がベストなのか?
・私は本当にinappropriate sinus tachycardiaなのか?inappropriate sinustachycardiaの病態とはどのようなものなのか?

以上についてのご意見とinappropriate sinustachycardiaについて参考になる文献がありましたら教えてください。

回答

洞結節のリズムは正常では自律神経などで巧妙に調節されており、早くなるのは多くは心臓以外の全身的条件によります(発熱、運動、情動など)。しかし時に原因が不明で、安静時にも頻脈が強い場合があってinappropriatesinus tachycardiaという名称が最近用いられることがあります。
実際上はかなりまれなもので、原因は症例によって違う可能性があり、定義も人によって多少違うことがあります。

対策は確立されてないわけですが、症状によって考慮すべきでしょう。ベータブロッカーで良くなるのであれば、継続していいと思います。ベータブロッカーが良く効かない場合もあって、その場合にこの病名を用いるという人もあるようです。薬には副作用もあり得るが、個人差もあり、症状との兼ね合いですから、経過をみながら主治医と相談して決めて下さい。状態が良ければ休薬(減量)してみることも考えられます。ベータブロッカーは種類が多く高血圧などで長期使用している人もあります。アブレーションは現状ではあまり確実とはいえないでしょう。その他疑問があれば専門医を受診して下さい。

1) Cossu SF, Steinberg JS: Supraventriculartachycardias involving the sinus node: Clinical andelectrophysiologic characteristics.
Prog Cardiovasc Dis 41:51-63, 1998

2) Mischke K, Stellbrink C, Hanrath P: Evidence ofsinoatrial block as a curative mechanism in radiofrequency currentablation of inappropriate sinus tachycardia.
J Cardiovasc Electrophysiol 12:264-267, 2001

邦文のものはちょっと見当たりませんでした。

この回答はお役に立ちましたか?

病気の症状には個人差があります。
あなたの病気のご相談もぜひお聞かせください。

高齢者の心臓病 高齢者の心臓病
CLOSE
ご寄付のお願い