疾患別解説

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カテーテルによる不整脈治療のリスク

36歳 男性
2003年11月13日

夫について相談します。
先日の検査で、大動脈弁閉鎖不全症と診断され、半年に一度の定期健診といわれています。
現在、不整脈の薬を飲んでいますが、カテーテルによる、アブレーション治療を勧められています。
不整脈は頻脈性のもので、30分ぐらい普段には考えられないほどの速さで心臓がどきどきしてしまい、血の気がひいて気分も悪くなり、救急車で運ばれたこともあります。今後また、不整脈が起きるかと思うと心配な反面、カテーテルでの治療で何か危険性があり、かえって症状を悪化させてしまう事がないかと悩んでいます。
また、大動脈弁閉鎖不全症は、今後手術が必要なのでしょうか?

夫は、血圧が高く150くらいですが、薬は飲んでいません。タバコは20歳から吸っていました。

回答

頻拍発作といってもその内容にはいろいろありますが、その主なものは大別して心房から起こる上室性頻拍と心室から起こる心室頻拍があります。これらの頻拍発作の治療法として近年急速に発達してきたのがカテーテルアブレーションで、電極のついたカテーテルを用いて頻拍の起こる起源を高周波で焼く治療です。今後頻拍発作がいつ起こるかという不安があり、また循環器の専門病院が近くにないということでしたらこの治療法を受けることを積極的にお考えになってはいかがでしょうか。発作時の心電図を拝見していないのでどのような頻拍発作か分かりませんが、概して上室性頻拍で90%以上、心室頻拍で50%以上の治癒率が期待できます。ただしこの治療法は10数年前から始まったもので全国的に普及してからまだ年月が浅く、そのリスクや治癒率、再発率などは施設によって多少差があります。この治療をお受けになる場合は、担当される先生からよく説明を受け、十分納得された上で受けられることをすすめます。その際頻拍発作時の心電図を持参されれば診断上大いに参考になります。
なお頻拍発作の予防にはこのほかに薬を服用する方法もありますが完全に予防できるわけではありません。

大動脈弁閉鎖不全症には大動脈弁の異常によるものと大動脈の拡張(大動脈弁輪拡張症)によるものと2種類あります。大動脈弁の異常は生体弁または機械弁による弁置換が行われますが、大動脈弁輪拡張症は人工弁付きの人工血管を使用したBenthal(ベンタル)手術が行われます。手術以外には良い方法がなく、手遅れにならないうちに手術を行うべきです。
手術の適応としては、下記が参考となります。
1)自覚症状が出現した場合
2)左室収縮期径が55mm以上に拡大した場合症状が出現すると、2?3年で心不全を起こし、数年以内に死亡する例がある。また左室収縮期径が55mを越えると手術成績が悪くなり、術後も心不全などの合併症を併発しやすくなる。

以上のことから、自覚症状があるなら、専門病院を受診して、適切な指導を受け、適切な時期に手術することを薦めます

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