家庭用心電計を上手に利用しよう

監修:小沢友紀雄(MJG心血管研究所所長)

家庭用心電計ってどんなものですか

健康診断や病院で用いられる12誘導心電図検査は、心臓の情報を多く得ることができます。しかし、患者さんは医療機関に行ったときに検査を受けるので、必ずしも症状があったときの心臓の様子を調べることができません。そこで、小型の心電計を身体につけて生活して、異常を感じたときに計測できる携帯型の心電計が開発されました。ホルター心電計やイベント心電計と呼ばれるものです。

かつては、器械を背負っているというような、小型といえないようなものもありましたが、現在は軽量・小型化しています。これらは、医療機関が患者さんの日常生活の中で異常が起きたときの心電図をチェックするためのものでしたが、さらに進んで、一般の人が購入して健康チェックをすることができる家庭用心電計へと発展しました。

さまざまな機能を持つ携帯型の心電計はいろいろありますが、ここでは「携帯して、いつでも、どこでも、だれでも簡単に計測できて、異常があるかどうかわかる」小型携帯型心電計を家庭用心電計と呼ぶことにします。
たとえば、ホルター心電計(写真2)のように24時間ずっと装着するような、簡便とはいえず生活が制限されるものは含みません。
また、あくまでも異常があるかどうかを器械的に判断するだけで、病気の状態や診断は医療機関で心電図を解析していただく必要があります。

この家庭用心電計には、いつも携帯していて何か症状があったときにチェックするイベント心電計という面と、症状がなくても任意に心電図を観察するモニター心電計という面があります。
家庭用心電計は、1誘導(1方向)で計測するものが主体となっています。立体的な心臓を1方向のみで断面的にとらえることしかできないので、健康診断等で受ける12誘導心電図(12方向)に比べれば、多くの詳しい情報は得られません。しかし、誰でも、いつでも、どこででも計測できること、動悸や胸痛が起きたときにすぐに計測できるところに大きな価値があります。

写真2 ホルター心電計
写真2 ホルター心電計

小型軽量化がすすんでいますが、多くの情報を得る目的で、図のように多数の電極とコードを長時間(通常は24時間)装着して、通常生活中の心電図記録を行うもので、長期間いつでもどこでもという簡便性がありません。

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