手術のリスク
2017~2018年に行われた国内すべての先天性心疾患に対する外科手術の死亡率は2.7%でしたが、心房中隔欠損では0%、心室中隔欠損では0.2%で、最も重い手術で15.7%でした3。
心臓手術は1956年に始まりましたが、麻酔、人工心肺、心筋保護など多くの改良がなされ、また手術の技術も向上して、飛躍的に成功率が上がりました。
現在では早期に発見することができて、適切な時期に適切な治療を行えば、9割以上が完治します。しかし、複雑で重症な先天性心疾患では、段階的な手術が必要な場合があり、100%のQOLを得ることは難しく、手術後も日常生活の制限が必要な場合もあります。
また、心臓手術は再手術ほど危険率が高くなります。一度切った場所は癒着が起きて、手術が難しくなるからです。どうしても心臓手術で完治が困難な場合は、心臓移植が必要になる場合がありますが、心臓手術を数回行っている人は、心臓移植の適応にならない場合もあります。
文献
- 平田康隆、他:本邦における心臓血管外科手術の現状:2017年、2018年の日本心臓血管外科手術データベースからの報告、1.先天性心疾患手術、日本心臓血管外科学会雑誌, 2020; 49(4): 151-154