後天性心疾患
生まれたときは健康でも、小さい頃に心臓病を発症することもあります。川崎病は生後6ヵ月〜5歳の乳幼児期に発症し、発熱、眼球結膜や唇が赤くなる、いちご舌、皮膚の発疹、手足がむくむ、手のひら、足の裏が赤くなる、指先から皮がむける、首のリンパ節が腫れるなどの症状を認める原因不明の疾患ですが、川崎病に罹ると、心臓に血液を送る冠動脈に瘤ができることがあります。その瘤から血栓ができて冠動脈が詰まり、心筋梗塞を起こすことがありますので、定期的な診察が必要になります。
1961年に川崎病が発見されて以来、全国集計が始まった1970年から50年間で42万人の人が川崎病に罹患しました。2019〜2020年に集計された川崎病全国調査4では、2019年は1000人中3.7人、2020年は2.4人に川崎病が発症しています。冠動脈に瘤ができるのは、そのうち4.5%です。また、1万人当たり7人(0.07%)に、心筋梗塞や狭心症を起こす可能性の高い大きな瘤ができています。そのような患者さんは血液が固まりにくくする薬を飲み続ける必要があります。冠動脈狭窄に対しては、カテーテル治療や外科手術が必要な場合もあります。
治療が必要な不整脈も毎年1300人ほど発見されますが(表1)、この表にはあげていませんが、基礎疾患や症状のない心室期外収縮、心房期外収縮など治療の必要のないものから、発作性上室頻拍、心室頻拍など薬物治療やカテーテルアブレーションが必要なもの、QT延長症候群など薬物治療が必要なもの、一部のブルガダ症候群のように植え込み型除細動器や、完全房室ブロックなどペースメーカ植え込みが必要な人もいます。
心筋症を発症した場合も、薬物治療から、移植が必要な場合まで、症状はさまざまです。
文献
- 川崎病全国調査担当グループ:第26回川崎病全国調査成績, 2021, https://www.jichi.ac.jp › dph › uploads › 2022/04