学校・スポーツ関係者の皆様へ
学校・スポーツ関係者の皆様へ
心臓突然死はいつでも誰でもどこにでも起こる可能性があります。体育の授業や教室、またスポーツの最中に、大切な生徒が、友人が、チームメートが倒れるかもしれません。いざというとき誰もが助けることができるように、心臓マッサージ(胸骨圧迫)とAEDの使い方を授業や練習メニューに取り入れませんか。
もし、あなたがスポーツ選手、あるいはスポーツに深く関わる方なら
直前まで元気であった人が、スポーツをしている最中に心室細動を起こすことがあります。平成14年に亡くなられた高円宮殿下もスカッシュの途中で心室細動を起こしたことが原因でした。サッカーでも、国際試合の最中に倒れて亡くなったカメルーン代表のフォエ選手は、心室細動を起こしていたと推測されています。
一方、最近は、東京マラソンで倒れた人がAEDで救命されたり、野球のボールが胸に当たって心臓震とうを起こした高校生がAEDで救命された、という報道もありました。まわりに人がたくさんいて、しかも倒れる瞬間が目撃されるような例では、救命できる可能性が高いといわれます。
もし、あなたがスポーツ選手、あるいはスポーツに深く関わる人でしたら、ぜひAEDの使い方と心肺蘇生法を学んでおいてください。あなたのチームメートや、あなたのそばにいる人が倒れたとき、すぐに助けることができるように。あなたの愛するスポーツで亡くなる人が一人でも少なくなるように。
もし、あなたが学校教育に携わる方なら
いま日本では、学校で年間約50人が心臓突然死を起こしています。 若い命を救うために、ぜひAEDを校内に設置してください。それも保健室にしまっておくのではなく、皆が毎日、目にできるような玄関、廊下、体育館などに置くことが望まれます。 またそれを先生だけでなく、生徒も使えるように、日頃から授業で練習してください。
昨年、さいたま市の小学校6年生の女の子が、学校での駅伝の練習中に倒れて亡くなるという悲しい事故がありました。このとき、学校にAEDがあり、教員も心肺蘇生の講習を受けていたにもかかわらず、「脈がある」「呼吸がある」と判断して、AEDが使われませんでした。死戦期呼吸(心停止直後に起こりうるゆっくりとあえぐような異常な呼吸)を心停止の兆候と判断することの難しさへの理解が足りなかったからでした。判断の難しさは全国においても同様です。
さいたま市教育委員会では、その反省から二度とこのような悲劇を起こさないよう遺族と協力して、亡くなった少女の名前を入れた「体育活動時等における事故対応テキスト~ASUKAモデル~」を作成しました。ぜひ参考にしてください。
さいたま市教育委員会「体育活動時等における事故対応テキスト~ASUKAモデル~」
一方で、子どもたちのいじめや自殺が増えています。AEDや心肺蘇生法の講習を授業で行うことは、人を助けることの意義や真剣な救命行為に接することになり、命の大切さを子どもたちが学ぶきっかけになります。救命行為を学び、子どもたちが命を粗末にする行為を行わなくなることを願っています。
そして、子どもたちがAEDを含む心肺蘇生法を学校で習得することにより、将来、多くの人が救命活動を行うことができる社会、人の命を大切にする社会がつくられていきます。
日本心臓財団が協力している「PUSHプロジェクト」では、学校の授業時間(45分)内に、先生がDVDを使って生徒に心肺蘇生法を教えることができるシステムを作り、学校への導入を推進しています。
もし、あなたが学校関係、あるいは教育に関わる方なら、ぜひAEDの使い方と胸骨圧迫を子どもたちに学ぶ機会を与えてください。お友だちが倒れたとき、一番近くにいるのは子どもたちなのです。あなたの愛する子どもたちが一人でも多く救われますように。