杉本恒明氏は開会にあたり、「今回のメディアワークショップは、当財団役員の矢崎義雄先生、小川聡先生、山口徹先生より、二次性高血圧をもたらすなど呼吸器のみならず循環器疾患との関連も深い睡眠時無呼吸症候群(SAS)をテーマとしてご提案いただいた」とテーマ選定の経緯を紹介した。併せて、SASが良質な睡眠を妨げて日中の居眠りを誘うことから、「運転中の交通事故や鉄道事故をはじめとしたさまざまな事故が引き起こさ...
続きを読む
これまでSASは呼吸器疾患として認識され、呼吸器科医が治療にあたってきた。わが国のSAS研究の第一人者である成井浩司氏は、本講演で呼吸器科医の立場からSASの実態を紹介。持続陽圧呼吸(CPAP)療法による治療が重要としながらも、SAS患者の多くが高血圧をはじめとする循環器疾患などの合併症を有していることから、呼吸器科医と循環器科医、さらには糖尿病専門医との連携が求められていると提言した。 &...
続きを読む
苅尾七臣氏らの研究などから、SASは循環器疾患のリスクファクターとなることが明らかになっている。苅尾氏は循環器疾患のなかから高血圧を取り上げ、SASとの関連性について講演。「早朝高血圧は心血管系イベントの発症率を高めるが、早朝の血圧上昇の原因にはSASが疑われる。検診時や診察時の血圧が正常でも、朝の血圧をきちんと測定することが大切だ」と訴えた。 日本では高血圧患者の約10人に...
続きを読む
あらゆる心疾患の終末像である心不全とSASには深い関係がある。百村伸一氏は、心不全の概要について説明した後、SASが心不全を引き起こすメカニズムや、逆にSASが心不全から受ける影響を解説。SASと合併した心不全の治療については、「SASが閉塞型か中枢型かを判別したうえで、CPAPをはじめとした機器を用いて治療することが大切だ」と強調した。 日本では心不全の死亡率が増加中 図...
続きを読む
SASの治療における肥満の位置付け 山口(座長) SASと肥満の関係には多くの方が興味をお持ちだと思います。肥満がSASの原因ということは、肥満を改善すればSASも改善するのでしょうか。 成井 肥満が明らかに無呼吸の原因になっていると見受けられる患者さんの指導に関しては、診療のなかで常に「まずはやせましょう。運動をして、食事も制限しましょう」と言い、改善を促しています。一方で、CPAPを導...
続きを読む
INDEX
- 第23回 日常に潜む脳卒中の大きなリスク、『心房細動』対策のフロントライン―心不全の合併率も高い不整脈「心房細動」の最新知見―
- 第22回 高血圧パラドックスの解消に向けて―脳卒中や認知症、心不全パンデミックを防ぐために必要なこととは?―
- 第21回 健康を支える働き方改革「スローマンデー」の勧め―血圧と心拍数が教える健康的な仕事習慣―
- 第20回「家庭血圧の世界基準を生んだ「大迫(おおはさま)研究」30周年記念~家庭血圧普及のこれまでとこれから。最新知見とともに~
- 第19回「足元のひえにご注意! 気温感受性高血圧とは?」~気温と血圧、循環器病の関係~
- 第18回「2015年問題と2025年問題のために」~循環器疾患の予防による健康寿命の延伸~
- 第17回「ネット時代の健康管理」~生活習慣病の遠隔管理から被災地支援まで~
- 第16回「突然死や寝たきりを防ぐために…」~最新の動脈硬化性疾患予防ガイドラインから~
- 第15回「眠りとは?睡眠と循環器疾患」?こわいのは睡眠時無呼吸だけではない?
- 第14回日本心臓財団メディアワークショップ「コール&プッシュ!プッシュ!プッシュ!」?一般人による救命救急の今?
- 第13回日本心臓財団メディアワークショップ「心房細動治療はこう変わる!」
- 第12回日本心臓財団メディアワークショップ「新しい高血圧治療ガイドライン(JSH2009)」
- 第11回日本心臓財団メディアワークショップ「CKDと循環器疾患」
- 第10回日本心臓財団メディアワークショップ「特定健診・特定保健指導と循環器疾患」
- 第9回日本心臓財団メディアワークショップ「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」
- 第8回日本心臓財団メディアワークショップ「動脈硬化を診る」
- 第7回日本心臓財団メディアワークショップ「新しい循環器医療機器の臨床導入をめぐる問題点」
- 第6回日本心臓財団メディアワークショップ「不整脈の薬物治療に未来はあるか」
- 第5回日本心臓財団メディアワークショップ「メタボリックシンドロームのリスク」
- 第4回日本心臓財団メディアワークショップ「高血圧診療のピットホール:家庭血圧に基づいた高血圧の管理」
- 第3回「突然死救命への市民参加:AEDは革命を起こすか」
- 第2回 「心筋梗塞は予知できるか」
- 第1回 「アブラと動脈硬化をEBMから検証する」