挨拶の冒頭、杉本恒明氏は、今回のテーマが企画された背景について紹介した。それによると、前回のメディアワークショップで、医療機器の市場化あるいは導入の難しさに関する質問が出され、それらの事情を知りたいという声が上がった。そこで、虎の門病院院長の山口徹氏、独立行政法人国立病院機構理事長の矢崎義雄氏、慶應義塾大学医学部内科学教授の小川聡氏の心臓財団役員3氏により、今回のテーマ「新しい循環器医療機器の臨床導入をめぐる問題点」が企画されたのであるという。
続いて杉本氏は、今回で7回目となる本ワークショップを、“非常に成功しているミーティングの一つ”と評価し、「海外でもこういったメディアワークショップはよく行われているが、参加者一人一人の背後には何十万人という一般市民がおり、大規模な市民啓発活動につながる重要な役割を果たしている。今後もメディアワークショップが心臓財団の市民啓発活動の大きな力になることを信じ、メディアの方々の筆に期待したい」と述べた。
今回のテーマ「新しい循環器医療機器の臨床導入をめぐる問題点」では、循環器領域の新しい医療機器をどうすれば臨床で使用できるようになるかに焦点が当てられた。山口氏は、「新しい治療法の導入の遅れが問題となっているのは医薬品だけではない。特に循環器領域では医療機器のウェイトが大きく、新しい医療機器を導入できないがために新しい治療を行えないという問題がしばしば起こっている」という。医療機器は医薬品に比べて進歩が極めて早く、1〜2年の間に次々と変化する。したがって、臨床導入するためのスピードもまた違ってしかるべきだが、現実は厳しい。
そこで今回取り上げたテーマについて、山口氏は、「1つは100%輸入に頼っているペースメーカーなどの導入の問題、もう1つは循環器の新しい治療法になろうという温熱療法が導入されるための障壁についてご講演をお願いした。さらに、それらを審査する厚生労働省の立場からもご講演いただくことになっているので、行政側のご意見も併せて伺いたいと思っている」と述べ、座長の挨拶とした。