挨拶の冒頭、杉本恒明氏は、今回のテーマが企画された背景について紹介した。それによると、前回のメディアワークショップで、医療機器の市場化あるいは導入の難しさに関する質問が出され、それらの事情を知りたいという声が上がった。そこで、虎の門病院院長の山口徹氏、独立行政法人国立病院機構理事長の矢崎義雄氏、慶應義塾大学医学部内科学教授の小川聡氏の心臓財団役員3氏により、今回のテーマ「新しい循環器医療機器の臨床...
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医用工学(ME)の進歩が目覚ましい現在、循環器領域においては、新しい医療機器が生命維持の根幹として非常に大きな役割を果たしている。一方、これら医療機器の日本への臨床導入は、欧米に比べ遅れを取っているのが現状である。本講演で笠貫宏氏は、日本の保険制度の実情や欧米との格差を踏まえながら、ペースメーカーを中心とした生命維持装置の臨床導入をめぐる問題点について解説した。 世界における...
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温熱療法は心不全などさまざまな疾患の症状改善に有効な治療法として、最近注目されている。また、費用対効果も高く、経済的な先進医療技術としての期待も大きい。しかし、いまだ保険適用は承認されておらず、臨床現場での普及には障壁も多い。1989年、日本で初めて温熱療法を開発した鄭忠和氏が、同療法の効果や臨床導入への問題点について解説した。 温熱療法の始まり 1989年、鄭氏は鹿児島大学...
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日本には高度な医療機器を駆使するだけの高い医療技術があるにもかかわらず、機器の開発から承認までにかかる期間は、欧米に比べかなり長い。ここ数年、厚生労働省でもこの問題を解消するためさまざまな取り組みを行っており、医療機器の承認審査の合理化、効率化を図っている。現在日本が抱える審査過程の問題点と今後の方針について、行政の立場から山本弘史氏が解説した。 薬事法による医療機器の規制の...
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日本の医療機器審査の遅れについて 山口(座長)日本の承認審査の遅れを解消する一つの策として、欧米との国際的な同時臨床試験の話が出ましたが、その点についてご意見を伺いたいと思います。 山本 治験の段階から国際的な同時治験、同時審査を行うことは重要だと思います。現在はまだトライアルベースですが、ステントなどに関してそうした取り組みも行っています。もちろん、日本国内で治験、審査を実施するメリット...
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INDEX
- 第23回 日常に潜む脳卒中の大きなリスク、『心房細動』対策のフロントライン―心不全の合併率も高い不整脈「心房細動」の最新知見―
- 第22回 高血圧パラドックスの解消に向けて―脳卒中や認知症、心不全パンデミックを防ぐために必要なこととは?―
- 第21回 健康を支える働き方改革「スローマンデー」の勧め―血圧と心拍数が教える健康的な仕事習慣―
- 第20回「家庭血圧の世界基準を生んだ「大迫(おおはさま)研究」30周年記念~家庭血圧普及のこれまでとこれから。最新知見とともに~
- 第19回「足元のひえにご注意! 気温感受性高血圧とは?」~気温と血圧、循環器病の関係~
- 第18回「2015年問題と2025年問題のために」~循環器疾患の予防による健康寿命の延伸~
- 第17回「ネット時代の健康管理」~生活習慣病の遠隔管理から被災地支援まで~
- 第16回「突然死や寝たきりを防ぐために…」~最新の動脈硬化性疾患予防ガイドラインから~
- 第15回「眠りとは?睡眠と循環器疾患」?こわいのは睡眠時無呼吸だけではない?
- 第14回日本心臓財団メディアワークショップ「コール&プッシュ!プッシュ!プッシュ!」?一般人による救命救急の今?
- 第13回日本心臓財団メディアワークショップ「心房細動治療はこう変わる!」
- 第12回日本心臓財団メディアワークショップ「新しい高血圧治療ガイドライン(JSH2009)」
- 第11回日本心臓財団メディアワークショップ「CKDと循環器疾患」
- 第10回日本心臓財団メディアワークショップ「特定健診・特定保健指導と循環器疾患」
- 第9回日本心臓財団メディアワークショップ「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」
- 第8回日本心臓財団メディアワークショップ「動脈硬化を診る」
- 第7回日本心臓財団メディアワークショップ「新しい循環器医療機器の臨床導入をめぐる問題点」
- 第6回日本心臓財団メディアワークショップ「不整脈の薬物治療に未来はあるか」
- 第5回日本心臓財団メディアワークショップ「メタボリックシンドロームのリスク」
- 第4回日本心臓財団メディアワークショップ「高血圧診療のピットホール:家庭血圧に基づいた高血圧の管理」
- 第3回「突然死救命への市民参加:AEDは革命を起こすか」
- 第2回 「心筋梗塞は予知できるか」
- 第1回 「アブラと動脈硬化をEBMから検証する」