今回は「メタボリックシンドロームのリスク」というテーマで、東京逓信病院の宮崎滋先生と、筑波大学大学院の曽根博仁先生にお話しいただきます。メタボリックシンドロームというのは、心血管病の大きなリスク因子になるということで最近注目されていますが、社会における知名度は、決して高くないと思います。日本でも心血管病が増えている状況を考えますと、肥満や高血圧などの一つ一つのリスクを早い時期に治療して、心血管病を...
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今年4月、日本内科学会でメタボリックシンドロームの診断基準が発表された。メタボリックシンドロームとは、肥満があり、さらに高血圧や高脂血症、高血糖のうち2つ以上が集積している状態である。一つ一つの病態は重症にいたらなくても、複数が重なると動脈硬化が発症、進展しやすく、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが大きく上昇する状態といわれている。古くからその危険性が指摘されていたが、世界的に統一されたメタボリッ...
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メタボリックシンドロームの診断基準項目の1つである糖尿病は、単独でみても、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患を引き起こす強力なリスクファクターである。その適切な治療のためにはエビデンスによる裏付けが不可欠だが、曽根氏は、日本人の糖尿病患者は、欧米人の糖尿病患者と違って、必ずしも肥満ではないなどの特徴を指摘し、日本人独自のエビデンスの蓄積が必要であることを強調した。また、メタボリックシンドロームを...
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内臓脂肪とインスリン抵抗性 会場 内臓脂肪とインスリン抵抗性はどういう関係でしょうか? 曽根氏 蓄積した内臓脂肪から異常分泌される生理活性物質(アディポサイトカイン)がインスリン抵抗性の一因となって、このインスリン抵抗性が、メタボリックシンドロームを構成する個々のリスクを生み出す背景になっているというのが、現在のところのコンセンサスです。肥満もインスリン抵抗性も、歴史上一貫してメタボリックシン...
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INDEX
- 第23回 日常に潜む脳卒中の大きなリスク、『心房細動』対策のフロントライン―心不全の合併率も高い不整脈「心房細動」の最新知見―
- 第22回 高血圧パラドックスの解消に向けて―脳卒中や認知症、心不全パンデミックを防ぐために必要なこととは?―
- 第21回 健康を支える働き方改革「スローマンデー」の勧め―血圧と心拍数が教える健康的な仕事習慣―
- 第20回「家庭血圧の世界基準を生んだ「大迫(おおはさま)研究」30周年記念~家庭血圧普及のこれまでとこれから。最新知見とともに~
- 第19回「足元のひえにご注意! 気温感受性高血圧とは?」~気温と血圧、循環器病の関係~
- 第18回「2015年問題と2025年問題のために」~循環器疾患の予防による健康寿命の延伸~
- 第17回「ネット時代の健康管理」~生活習慣病の遠隔管理から被災地支援まで~
- 第16回「突然死や寝たきりを防ぐために…」~最新の動脈硬化性疾患予防ガイドラインから~
- 第15回「眠りとは?睡眠と循環器疾患」?こわいのは睡眠時無呼吸だけではない?
- 第14回日本心臓財団メディアワークショップ「コール&プッシュ!プッシュ!プッシュ!」?一般人による救命救急の今?
- 第13回日本心臓財団メディアワークショップ「心房細動治療はこう変わる!」
- 第12回日本心臓財団メディアワークショップ「新しい高血圧治療ガイドライン(JSH2009)」
- 第11回日本心臓財団メディアワークショップ「CKDと循環器疾患」
- 第10回日本心臓財団メディアワークショップ「特定健診・特定保健指導と循環器疾患」
- 第9回日本心臓財団メディアワークショップ「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」
- 第8回日本心臓財団メディアワークショップ「動脈硬化を診る」
- 第7回日本心臓財団メディアワークショップ「新しい循環器医療機器の臨床導入をめぐる問題点」
- 第6回日本心臓財団メディアワークショップ「不整脈の薬物治療に未来はあるか」
- 第5回日本心臓財団メディアワークショップ「メタボリックシンドロームのリスク」
- 第4回日本心臓財団メディアワークショップ「高血圧診療のピットホール:家庭血圧に基づいた高血圧の管理」
- 第3回「突然死救命への市民参加:AEDは革命を起こすか」
- 第2回 「心筋梗塞は予知できるか」
- 第1回 「アブラと動脈硬化をEBMから検証する」