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疾患別解説

心筋症 とは

 心臓は、四つの部屋から構成される筋肉(心筋)の袋と考えられます。四つの部屋とは、全身からの静脈血を受け入れて、酸素の補給を受けるために肺へ送り出す右心房、右心室と、肺で酸素を補給された動脈血を受け入れて、全身(大動脈)へ送り出す左心房と左心室です。
 
 心臓は、心筋を拡張させて静脈血を受け入れ、収縮させて動脈血を送り出すポンプの役割をしています。この心筋に栄養(酸素)を送っているのが、心臓の周りを冠のようにとり囲む血管(冠状動脈)です。この冠状動脈が動脈硬化などにより狭くなったり、塞がってしまったりすると、心筋に栄養が行かなくなり、心筋が障害を受けて、虚血性の心臓病(狭心症や心筋梗塞)になります。
 ところが、こうした動脈硬化のような明らかな原因が特定できずに、何らかの原因で心筋の状態が悪くなって心臓の機能が低下する病気を心筋症と呼んでいます。
 
 hidai_001.jpg心筋症は、肥大型と拡張型の二つの型に大別できます(図1)。肥大型とは、心筋が分厚くなっている状態で、心臓の内腔は拡大していません。拡張型とは、内腔が非常に拡大し、心筋の外壁が薄くなっている状態です。後者の拡張型心筋症は、わが国では心臓移植のいちばんの適用になっていますので、その名前を耳にしたことがおありかと思います。

 これらには特徴があり、肥大型心筋症では、心臓の動きは正常または正常以上に保たれており、きちんと収縮します。ところが拡張型心筋症では、心臓が拡張して大きくなったときと、収縮して小さくなったときとを較べても、ほとんど大きさが変化していません。つまり、ほとんど収縮していないのです。

1)肥大型心筋症

shinsikkan_002.jpg 図2は、肥大型心筋症の心臓を縦切りにしたものです。左心室と右心室の間の心室中隔(Septum)という部分の上のほうがとくに肥大しているため、左心室から全身に血液が送り出されにくくなっています。この病気の心筋には特徴があります。図3は正常の心筋(右)と肥大型心筋症の心筋(左)を顕微鏡で比べたものですが、正常な心筋では、心筋細胞が整然と平行に整列しています。ところが、肥大型心筋症の心筋では、あっちを向いたり、こっちを向いたりしています。つまり、心筋細胞がおなじ方向に向いていてこそ、心臓は効率よく収縮できるわけで、このように筋肉がばらばらな方向を向いていると、心臓の働きに無理を生じます。 肥大型心筋症の治療では、強心薬を使ってはいけません。強心薬を使うと心筋の収縮力が高まり、左心室の出口がますます狭くなって、全身に血液を送り難くなり、心臓に負担をかけてしまうからです。  

2)拡張型心筋症   

shinsikkan_003.jpg 拡張型心筋症の心臓は、X線写真を見てもわかるように心臓は拡張して大きくなっています(図4)。そして心臓の筋肉は、一部脱落し、その脱落したところが線維組織に置きかわってしまっています(図5、青く染まったのが線維組織)。全体として心臓の筋肉細胞の数が少なくなっていますから、心臓の働きが悪くなります。
 
 拡張型心筋症は、心臓移植以外に完治しない難病ですが、最近は薬物療法その他の進歩により、長く生存することが可能になりました。
 
 原因はいまだ不明ですが、心筋にウイルス感染が起こって生じた心筋炎のなれの果てではないだろうかという仮説をもとにした研究も進んでいます。

 かなり専門的なことになりますけれど、もう少し詳しく心筋症の話をお知りになりたいという方が居られましたら、「心筋症の話」(中公新書、河合忠一著)という本が出ておりますので、これを参考にしてください。
 
(河合忠一京都大学名誉教授の講演を要約 2005年11月作成)

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