疾患別解説

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肥大型心筋症に肝硬変を合併した

77歳 男性
2003年11月 4日

今年になってから、父が息切れするようになったため、病院で診てもらったところ、心臓肥大が見られ入院。
心臓カテーテルの結果、血管には問題なし。不整脈なし。筋肉の壁が厚くなっていて、肥大型○、拡張型×、梗塞型△という状態で、血圧も低めで、一般的な心不全とは異なり、原因不明。

その検査の中で胃がんが見つかり手術。その後、心臓に関しては特に今すぐどうの、という状態ではないということで退院。

ところが、徐々に日常生活で息切れを感じるようになり、利尿剤を用いても、水が減らなくなってきてしまった。また顔と足にむくみが出てきている。現在、再入院しているが、夜寝ている時に苦しくなったり、また、院内をちょっと歩くだけで疲れるようになってしまった。
また水は、前より溜まってきてしまい、利尿剤を増やしても、全く減らなくなってしまっている。

肝臓の数値も上がってしまっていて、当初、抗がん剤の副作用かもと言われていたが、検査を続けるうち、自己免疫疾患から起こる「原発性胆汁性肝硬変」との診断がつきました。
ということは、心臓にも何らかの抗体ができてしまって、そのせいで、心不全の状態になっている、という可能性はあるでしょうか。またその場合はどのような治療法があるのでしょうか。

現在服用中の薬
心臓:ラシックス錠(2錠)、ニューロタン(2錠)、アルダトン(2錠)
肝臓:ウルソ酸

回答

あなたの父上は典型的な心不全の慢性経過をたどっているようです。肥大型心筋症ですが、その成因はまだよく分かっておりません。以前、肥大型心筋症は、自己免疫疾患ではないかと疑われたことがありましたが、現在のところそれを確認する証拠は見出されておりません。従って、肥大型心筋症と原発性胆汁性肝硬変とは別の成因によるものと理解されます。なお両者ともに黄疸の出現することがありますが、心不全の場合には肝細胞の壊死により、一方、自己免疫性感肝硬変では胆汁うつ滞のためであり、前者では利尿薬、強心薬、血管拡張薬、レニン・アンジオテンシン阻害薬が有効であり、後者の場合には、催胆薬であるデオキシール酸が有効です。
なお、あなたの父上は普通の心不全とは異なるといわれたそうですが、症状には胃がんまたは胃がん手術の影響もあるの知れません。

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