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子どもの心臓病について

子どもの心筋症

日本全国で、1年間に18歳未満の子どもが心筋症を発症する数は、70~100例ほどです。心筋症には、心筋が薄くなって心臓が大きくなる拡張型心筋症、心筋が肥大して心臓の大きさは変わらない肥大型心筋症、心筋が硬くなって心房が大きくなる拘束型心筋症があります。なかでも拡張型心筋症は、1歳未満での発症が多く、平成21年度では18歳未満の拡張型心筋症の発症が全国で38例ありましたが、そのうち半数以上の22例が1歳未満で発症していました(日本小児循環器学会調査、表1)。

日本では学校健診の制度が整っているので、幼稚園入園時、小学校入学時、中学校入学時の健診で発見されることも多く、早期に治療を開始することができます。

どの心筋症も不整脈が伴うと致死性心事故が起こる可能性が高くなるため、見かけ上は元気でも不整脈を予防するための薬の服用や運動制限が必要になります。

肥大型心筋症は不整脈を伴わなければ予後のよい心筋症で、5年生存率は8~9割以上です。心筋の肥厚を抑える薬物治療も効果があります。薬物が効かない場合には外科的切除やアルコールで肥大している部分の心筋を焼くカテーテル治療や外科的切除手術が行われることもあります。しかし、完治はできないので、運動制限は必要になります。

拡張型心筋症は心筋機能をうまく保つ薬物治療があまりないため、将来的には心移植に頼るしかないのが現状です。ただし、ベータ遮断薬やアミオダロンなどの心不全の進行を抑える薬が効く患者さんもいます。

拘束型心筋症は数は少ないですが不整脈も起こりやすく、診断した時点で移植対象になる疾患です。

心筋症は原因不明で起こる疾患ですが、遺伝性の場合も多く、肥大型の6割、拡張型の3割、拘束型も多くが遺伝性です。親が心筋症の場合は子どもの検査が必要で、逆に子どもに心筋症が見つかった場合は、家族の検査が必要になります。 なお、遺伝子のタイプによって重症度、進行具合、突然死や不整脈の出る頻度、薬の効果等、わかるようになってきており、心筋症の遺伝子診断は治療の上でも重要となっています。

小児の臓器移植については、2010年に15歳未満の小児の臓器提供が認められるようになりましたが、成人と違ってまだ少なく、2012年6月にようやく2例目が行われたところです。日本に限らず世界的に子どものドナーが少ないのが実情です。心臓や肺に障害なく亡くなられる場合が少ないことや、ドナーを提供できる施設が限られていることなどもあります。 また、移植できる心臓は、体重差が3倍までといわれており、10キロの子どもであれば、30キロの大人の心臓までしか移植できず、子どもの場合は体重差が大きいことも移植を難しくしています。

最近は、新しい補助人工心臓が開発され、1歳未満の乳児にも装着可能なベルリンハート、ジャービックなども日本で試験が開始されています。さらに小型注射器ほどのサイズの補助人工心臓も開発されています。補助人工心臓は血栓ができやすく、脳梗塞を起こす危険もありますが、補助人工心臓で心筋を休ませているうちに心筋が回復する可能性も稀にあります。しかしながら、一般には使用期間が1~1年半であり、長期に使用できる補助人工心臓の開発には、まだ時間がかかります。

将来的には心筋を再生させる医療も研究されており、移植をしなくとも治療できる時代が来る可能性もあります。

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