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日本心臓財団とは

設立趣意書

厚生省発表の人口動態統計によると、わが国の国民死亡原因の第一位は脳卒中、第二位はガン、第三位は心筋梗塞、心不全等の心臓病であります。ここで第一位の脳卒中と第三位の心臓病とによる死亡は、全死亡の半分近くを占め、第二位のガンによる死亡者数をはるかに抜いております。したがって、脳卒中、心筋梗塞、心不全等の心臓血管病は国民保健上最も緊要な課題であるといえます。ことに、その発病が働き盛りである50歳~60歳代に頻発し、中道にたおれる者の数、罹病後の社会復帰のかなわぬ者の数等がますます増加しているのは、わが国全体の生産活動の面からも由々しき事柄であって、これが制圧は真に挙国的急務であるといっても過言ではありません。

従来わが国では、一般に心臓麻痺、脳卒中等はほとんど突発的な疾患として、予防がはなはだ困難であるかのように考えられてまいりました。しかるに、近年のめざましい医学の進歩が、これの主な原因である動脈硬化の予防法および治療法の大いなる開発をもたらしたことは、未だ国民一般にほとんど知られていない現状であります。

したがって、これらの予防法、治療法の国民的普及、啓蒙活動の必要性は、心臓血管病制圧への第一歩として早急に着手すべきものといえます。

アメリカ合衆国においては、20年前に民間の推進団体として「アメリカ心臓協会」(American Heart Association)が発足し、現在十数億ドルの基本財産を擁して心臓血管病の対策活動をつづけ、また自ら中心となって『国際心臓財団』(International Cardiology Federation)を結成し、ジュネーブに本部を置き、先進諸国を含めて40余ヶ国の心臓財団がこれに参加して国際交流を遂げており、最近その組織、目的を拡大して新しい『国際心臓財団連盟』を発足させました。また、アメリカ歴代の大統領は率先してこの運動に参加し、年々二億ドル近い巨額の国家補助を行っている現況であります。

しかるにわが国においては、他の先進諸国に劣らぬ秀れた業績を挙げている日本循環器学会を擁しながら、その業績を国際的に発表して、世界の心臓血管病の制圧へ寄与、貢献すべき十分な資金を持たず、また海外の新知識を取り入れる国際諸会議へ参加することや、若い研究員を海外へ派遣、留学させることも、十分に行われていない現状であります。

戦後24年、自由世界第二位の経済大国にまで成長したわが国において、心臓血管病に関して今なおこのような状態にあることは誠に遺憾に堪えません。

もとより、心臓血管病は世界共通のものであり自国内の研究にとどまらず国際的な研究開発、情報の交換、共同調査による地域特性の研究等の協力体制を強化し、もってその成果を高めていくことは極めて必要なことであります。

これが世界各国の趨勢となっている現在、わが国においても、このための推進母体を民会団体としてまず確立し、わが国循環器学の国際交流を助成するとともに、心臓血管病に対する予防、治療、社会復帰の問題を研究開発していくことは何よりの急務であり、国民の健康を守る上で直ちに着手しなければならない事業であるといえます。

この財団の設立によって、心臓血管病の制圧のための全国的、総合的な新しい推進体制を整え、従来ややもすればわが国の大学、病院、研究所等の間で相互の有機的連絡、協力に欠けるところの多かった弊を打破し、わが国医学、医療の実力を内外に発揮せしめ、ひいては政府においても、これを国民保健の重要施策のひとつとして取り上げる契機となることを期待するものであります。

人類の脅威、心臓血管病を制圧せんとするこの国民的運動に対して、各方面の理解と協力をえて本財団の設立を速やかに実現せしめるよう念願してやみません。

昭和45年4月 9日 設立許可
昭和45年5月15日 設立登記

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