AEDで助かる命

そこにAEDがあれば、そこに助けようとする人がいれば、助かる命があります。

妊婦に使えますか?

もし倒れている人が妊婦の場合、AEDを使っても大丈夫ですか、という質問をよく受けます。電気ショックが胎児に悪い影響を及ぼすのではないかと心配されているようです。

しかし、妊婦が心室細動を起こしていれば、AEDによる電気ショック以外にこの母親を救命する方法はありません。また、心肺停止状態が続けば胎児への酸素供給も滞っていると考えられますので、母親を早急に蘇生させることこそが、母子双方の命を救うことにつながるのです。

AEDには診断機能があり、電気ショックが必要な場合以外は作動しません。例えば妊婦では姿勢によって太い静脈が胎児のいる子宮に圧迫されたり、足の静脈にできた血栓が肺の動脈に詰まって意識を失うことがあり得ますが、そのような場合には電気ショックが不要であることを音声で教えてくれます。反対に電気ショックが必要と診断された場合には、その人は心室細動か無脈性心室頻拍で死に瀕しているということであり、電気ショック以外に救命の方法はありません。

AEDを使用した場合の胎児への影響ですが、これまでにそのような事例の報告はありません。母親への電気ショックが胎児に感電する可能性とか、電気ショックを与えるタイミングによっては胎児の心臓で心室細動を誘発する可能性がまったくないとはいえません。
(医学的にはR on Tのタイミングといいます。野球などでボールが胸に当たって心臓震とうを起こすのは、心臓の拍動のこのタイミングでボールによる刺激を受けるのが原因といわれています)
しかし、除細動のための電極が貼ってある位置は母親の胸部であり、腹部の羊水の中にいる胎児の心臓からは離れており、ショックエネルギーは、そこに到達するまでにかなり減弱されていると考えられます。また理論的に胎児の心臓のように非常に小さい筋肉の中では心室細動が起こりにくいことがわかっており、胎児まで心室細動になってしまう可能性はきわめて少ないと思われます。

実際に妊婦に発生した心室細動に対して300Jの体外式除細動を与えても胎児に影響が見られなかったとする報告もあります(Chest 1970;58:82-4)。

いずれにしても、胎児への影響を心配してAEDを用いない、ということは人道上も、また母親のみならず胎児の命を救うためにも、あってはならないと思います。

なお参考までに、母親の蘇生が困難な場合に、4分以内に帝王切開を行い、5分以内に胎児を取り出すことが母子双方の救命に有益であるとの報告もあります
(Obstet Gynecol 1986;68:571-6)。

  • あなたしか救えない大切な命
  • AEDの普及状況
  • AEDに関するリンク集
  • AEDの設置基準の提言
  • 提言「学校での心臓突然死ゼロを目指して」日本循環器学会AED検討委員会
  • PUSHプロジェクト
  • AEDサスペンスドラマゲーム 心止村湯けむり事件簿 AED・心臓マッサージを楽しく学べるサスペンスゲーム(日本循環器学会)

協力団体

  • 日本AED財団
高齢者の心臓病 高齢者の心臓病
CLOSE
ご寄付のお願い